東京都では、東京と他の地域が、それぞれの持つ力を合わせて、共に栄え、成長し、日本全体の持続的発展へとつなげていく「共存共栄」を目指しています。
そのために、東京都では、東京だけでなく他の地域の発展にも結びつく様々な施策に、各自治体と協力して取り組んでいます。その取組の一環として、全国の自治体へ直接訪問し、東京都との連携や政策全般にわたる意見交換を積極的に行っています。

令和7年11月10日(月)に青森県庁、りんご研究所を訪問しましたが、翌日11日(火)には宮城県庁とみやぎ森林・林業未来創造カレッジを訪問したので、その様子をお届けします。

青森県庁訪問レポートはこちら!

宮城に向けて出発!

新青森駅から再び新幹線で仙台に到着!
今回の昼食は、もちろん牛たんです!

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私が選んだのは仙台味噌と塩のミックス。香り高く、ジューシーで歯ごたえ抜群!噛み進めるたびに幸せになる時間でした。

宮城県庁へ

昨日とは打って変わって、穏やかな陽気に恵まれ、季節を巻き戻したような不思議な感覚でした。県庁の周りでも鮮やかな紅葉を見ることができました。

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宮城県庁舎。手前には平成元年に設置された2代目花時計がある

意見交換まで少し時間があったので、庁舎内を見学することに。
宮城県庁には仙台市内を一望できる展望ホールや県政広報展示室など、来庁者が自由に見学できる場所があります。県政広報展示室では県の歴史や東日本大震災からの復興について紹介をしています。また、企画展も実施しているので、行くたびに宮城県について新しく学ぶことができます。私たちが訪問した時のテーマは「宮城の伝統的工芸品の紹介」でした。

展示を堪能し、いよいよ意見交換です。
今回は、企画部の皆様にご対応いただきました。
お忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。
意見交換では、東京都が実施する連携事業をご紹介するとともに、宮城県の政策について幅広くお話を伺いました。ここではご紹介いただいた県の政策のうち3つをピックアップします!

【自然災害避難支援アプリ「みやぎ防災」】

宮城県庁は、県内市町村と連携し県民がQOLの向上を実感できるようなDX施策を展開しています。今回ご紹介いただいたのは、令和6年11月に導入した、マイナンバーカードの基本4情報を活用したスマートフォンアプリである、自然災害避難支援アプリ「みやぎ防災(外部サイト)」です。

アプリ導入のきっかけは東日本大震災。県民の避難状況や避難所ごとの支援物資の需要や供給状況の把握が困難を極め、人命救助や復旧・復興において、非常に大きな妨げとなりました。より迅速に避難状況や必要物資を把握できるようにするため、県はデジタル身分証アプリの導入を決意。被災者支援に必要な情報の収集方法についてはさまざまな方法を検討しましたが、最終的にはマイナンバーカードの基本4情報を使用したデジタル身分証アプリを導入することとなりました。

現在の「みやぎ防災」の主な機能は、避難に役立つ情報のプッシュ通知、避難状況の登録、家族情報の一括登録などです。特筆すべきは避難状況の登録で、避難所への到着時に、避難所ごとに掲示される二次元コードをアプリで読み取るだけで簡単に避難者の情報が登録されます。その後、別の避難所に移ったり、自宅や車中避難をしたりした場合も改めて登録し直せばその情報が上書きされ、各人の避難状況を自治体がリアルタイムに把握することができます。避難所別の避難者名簿も瞬時に作成され、避難者の性別や年齢もより正確に把握できるので、自治体職員の業務を大幅に削減できます。また、避難所での受付にかかる時間も、手書きに比べ大幅に短縮され、実際に「みやぎ防災」を使って避難訓練を行ったところ、避難者情報登録にかかった時間は従来の手書きでの受付に比べて14分の1に減ったそうです!このほか、自身のアレルギーの登録も可能で、ゆくゆくは透析など各自の健康状態に関するより詳細な情報の登録も可能にして、避難者のニーズに応じたきめ細かな支援ができることを目指しています。

さらに宮城県の視点は鋭く、せっかく「みやぎ防災」を導入しても、防災を前面に出すだけではなかなか普及しないのではないか...?と思い、平時に利用できる様々なサービスも追加し、普段は便利に、災害時は安心材料となるアプリへと発展させていったのです。平時のサービスとして追加されたもののひとつが「みやぎポイント」。「みやぎポイント」は、県内のスーパーやドラッグストア、百貨店など、約2,200店舗(※令和6年320日時点で3,576店舗)で1ポイント=1円で使える県公式デジタル地域ポイントです。地域のイベントやお祭りへの参加など、さまざまな機会でポイントをゲットすることができます。

このようにして利用者ニーズ寄り添ったアプリ導入が功を奏し、登録者数は約74万人と、県民の3分の1が登録するという快挙を成し遂げました(※令和6年3月23日時点で約113万人、県民の51%)。県民にとってもっと便利なアプリになるべく、アンケートや宮城県からのお知らせ、インフラ通報など、さまざまなアプリが搭載され、防災以外の分野でも進化を続けています。

【観光施策】

令和5年の宮城県全体の観光客数はコロナ禍前の水準を上回り、過去最多を記録するなど回復傾向にあるものの、地域によっては十分に客足が戻っていない現状があります。そこで、県は「第6期宮城観光戦略プラン(外部サイト)」を策定し、地域が主役となる持続可能な観光地域づくりを通し、東北をけん引する"All-round"な観光地を目指しています。①魅力ある観光資源の創出、②観光産業の活性化、③観光客受入環境整備の充実、④国内外との交流拡大の促進、の4つの戦略を軸に体系的な取組を進めるとともに、県内の各地域の特色を生かしたコンテンツを展開していきます。プランはワクワクするような内容なので、ぜひチェックしてみてください。

インバウンドも増加傾向で、仙台空港に就航しているアジア圏からの観光客が多くを占める状況です。県はこの勢いをキープしつつ、今後は外国人観光客の内訳をよりバリエーションに富んだものにしていきたいと考えています。その一環として、県職員をフランス・パリに派遣し、現地の旅行会社への営業を精力的に行っているとのことです。

【若者・女性向けの施策】

宮城県は「若者・女性に選ばれる宮城」を目指しています。宮城県内には大学が多く立地していることもあり、若者の転入超過が続いていましたが、令和に入ってから転出超過へと変わりました。県としては、宮城で育った若者が故郷とは異なる地でさらなる成長を遂げ、結婚・出産・子育てのタイミングでまた宮城に戻ってきてもらうべく、「魅力ある就職先の充実」と「郷土への愛着の醸成」を両輪とした若者・女性向けの施策を展開していきます。
例えば、今後の市場成長が見込まれる半導体をはじめとするものづくり産業や、女性の関心が高い化粧品・健康関連産業の誘致、首都圏に転出した若者と地元・宮城をつなぐコミュニティの立ち上げなど、長期的な視点で施策を進め、県内定着を確かなものにしていく考えです。

この他にも、今後の連携、そして両自治体の更なる関係構築につながるようなお話がたくさんできました。
宮城県庁の皆様、ありがとうございました。

宮城県ホームページ

宮城県林業技術総合センターへ

さて、宮城県庁を後にした私たちが次に向かったのは、 宮城県林業技術総合センターです。

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宮城県林業技術総合センターは、昭和45年に宮城県林業試験場として設立、総合的な林業技術の核となることを目指し、平成20年に普及指導部門が強化され、現在の体制となりました。センターのミッションは大きく次の3つに分かれます。

① 林業試験研究の推進
森林保護、林業用機械、林業経営、木材利用やきのこ等に関する試験研究を行い、事業者や林業従事者、県民に対して研究成果の普及や技術の移転を進めています。
② 林業種苗の開発と安定供給
センターでは少花粉スギの種を作っています。これまで、宮城県は少花粉スギの挿し木幼苗の生産本数で東北随一を誇ってきました。一方で、挿し木幼苗の生産を行うハウスの棟数や一本一本植え付ける人手に限りがあること、林業用苗木を生産・販売する事業者から幼苗よりも扱い易い種への需要が増していることから、新たに種の生産に取組み始めました。種は、外部のスギ花粉が混ざらないよう、専用のハウスで少花粉スギ同士を交配させて生産しています。
③ 林業技術の普及指導と人材育成
林業における人材育成の役割は、宮城県の林業団体、県、市町村等によるみやぎ森林・林業未来創造機構が設立した「みやぎ森林・林業未来創造カレッジ」が担っています。森林や林業の専門人材を育成する教育機関は全国に数多ありますが、ここの特徴は「大学校方式(就業前の学生を受け入れ、数年かけて特定の分野の人材として育成し就職へ導く)」ではなく、すでに林業に就業している方を含め、それぞれの必要なコースを選択し受講する「メニュー方式」であることです。コースは多様で、林業に興味を持つ人向けの入門コースからから技能者向け、森林管理者や林業経営者向けコースまで用意され、なおかつ各コースにも多種多様な講座があり、林業について広く深く学べる場所であると感じました。

林業は地球環境の持続可能性を考える上では必要不可欠な産業です。林業従事者が減少する現状を打破するためには、森林・林業が若い世代にとって魅力ある就職先となることが必要です。森林経営者も機構に参加していただき、賃金交渉を含めた職場環境の改善や安全性向上など、林業全体で実効性を持った変革を図っています。特に、林業はいわゆる3Kの産業とされ、他業界と比較しても労働災害率の高さが顕著です。そのため、カレッジでは、特に安全教育を徹底し、事故発生の可能性を極限まで下げることで「死なない林業」を実現できるよう、チェーンソーの理論的伐倒等を根気強く教えているとのことでした。

また、カレッジでは、新しい時代における林業を価値ある産業、持続可能な循環型産業、地域活力を生み出す森林活用型産業へと成長させることも目指し、技能だけでなく、スマート林業やDX推進、森林ビジネスなど多岐にわたる講座を用意しています。講座は受講者のニーズを汲みながらバージョンアップされ、さらに毎年1~2つほど新しい講座を追加しているという充実ぶりです。
さらに驚くべきは、講師の探し方です。質の高い講師を確保するため、なんと機構職員が全国から志のある実務家を探し、直接会ってスカウトしているというのです。

こうした取組により、講座の充実が図られ、人材が定着し、またカレッジに入学した先輩の背中を追って入学する人が増えるなど、喜ばしい成果が出ています。
新しい森林・林業ビジネス、価値創出をリードする人材を育成するとともに、林業が誇りをもって自分らしく働ける仕事になることを目指す機構の取組に触れ、職員の皆さんの熱い想いを実感しました。
美しく豊かな森林を維持し、宮城県や県民の豊かさや地域の活力につなげようとする宮城県林業技術総合センターの歩みはこれからも続きます。

最後に、センター内を少しだけ見学させていただきました。
建物は県内製造のCLT(直交集成板)やLVL(単板積層材)を用いた木造建築です。構造を活かした大空間で開放感がありながら、木の温もりも感じられ、とても居心地が良かったです。建物内では木材同士をつなぐ様々な種類のジョイント金具が研修資料として見える状態になっていました。

宮城県林業技術総合センター(宮城県ホームページ)(外部サイト)
みやぎ森林・林業未来創造カレッジホームページ(外部サイト)

2日間かけて各所を訪問し、非常に多くの学びを得ることができました。
東京都は、全国各地との共存共栄を目指し、引き続き幅広い分野で連携を進めていきます。
次回の訪問レポートもお楽しみに!