東京都では、東京と他の地域が、それぞれの持つ力を合わせて、共に栄え、成長し、日本全体の持続的発展へとつなげていく「共存共栄」を目指しています。
そのために、東京都では、東京だけでなく他の地域の発展にも結びつく様々な施策に、各自治体と協力して取り組んでいます。その取組の一環として、全国の自治体へ直接訪問させていただき、東京都との連携や政策全般にわたる意見交換を積極的に行っています。
9月4日(木)から5日(金)にかけて長崎県を訪問させていただきましたので、その様子をご紹介します。
朝は6時30分に羽田空港に集合です。
今回は、政策全般にわたる意見交換に加え、全国一の離島県である長崎県と離島航空路線の維持について連携を図れたら...と港湾局離島港湾部の職員と一緒に向かいます。
2時間弱のフライトを終え長崎空港に着いたら、そのまま空港内にある航空会社「オリエンタルエアブリッジ」様で意見交換をさせていただきました。
長崎空港等を拠点とし、長崎、福岡と県内の離島をつなぐ「オリエンタルエアブリッジ」様は、「日本で一番地域に価値を届ける航空会社」というビジョンのもと、航空事業を通じた離島地域の社会課題の解決に取り組んでいます。
経営に課題を抱える中で、ダイヤ改正や運賃の設定などに加え、コードシェア便によって九州内や大都市圏から離島地域への誘客を促進するなど、様々な取組を聞かせてくださいました。
それでは、意見交換でもお話のあった「ATR 42-600」に搭乗して、五島市の福江島に向かいます。
離陸してしばらくすると、福江島が見えてきました。なんて美しい景色なのでしょうか。ずっと眺めていたいくらいでしたが、空の旅は30分ほどで、あっという間に福江空港(愛称:五島つばき空港)に着陸です。
空港に到着し、レストランで「五島うどん」をいただきました。細麺でありながらしっかりしたコシがあります。そして椿油由来の滑らかなのど越し...大変美味しくいただきました。
続いて福江空港で意見交換です。
福江空港は、五島列島の南西端に位置する福江島にある地方管理空港です。2,000メートルの滑走路を有し、小型ジェット機の就航も可能となっています。定期便は、福岡、長崎とそれぞれ1日3往復就航しており、チャーター便も年に数回程度運航しているそうです。
観光客の方の利用が多いそうですが、お盆や年末年始は帰省の方も含めて飛行機が満席になり、空港の大きな駐車場がいっぱいになるそうです。空港の利用促進や観光振興に向けた二次交通の充実などについてもお話を伺ったあと、エプロン(航空機への旅客、郵便物あるいは貨物の積み卸し、給油、駐留又は整備のために設けられる区域 )に出て滑走路を見学させていただきました。
福江空港に別れを告げ、五島市役所に向かいます。
五島市は九州の最西端に位置し、五島列島最大の「福江島」を中心に、10の有人島と53の無人島で構成されています。美しい海と豊かな自然、穏やかな気候に恵まれており、遣唐使の経由地、潜伏キリシタンの移住など大陸との関わりや離島であることを背景とした歴史が数多く存在しています。
五島市役所では、産業振興部の職員の方々にご対応いただきました。
五島市においても、離島航空路線の維持については課題となっていて、航空会社への支援や有人国境離島法の活用状況についてお伺いしました。
需要の喚起に向けては、住民の利用促進と観光客の誘致がポイントとして話題にあがりました。滞在期間の延長や新たな旅行者層の確保につながるよう、世界文化遺産や豊かな自然を生かした旅行プログラムの造成などに力を入れている、とのことでした。
また、五島市は、映画やドラマの撮影地として大人気です。「舞いあがれ!」や「ばらかもん」、「孤独のグルメ」など数多くのロケ地になっています。ロケ地マップやトークショーの開催、映画とタイアップしたSNSでの情報発信など、映画を活用したプロモーションにも取り組まれていました。
ロケ地の誘致として、交通費や宿泊費の一部を補助しているそうですが、ロケハンの時から職員の方が相談を受けたり現地を案内したりと様々な支援をなさっているそうです。
人気の秘密は、美しい海や歴史的な教会、雄大な自然環境もさることながら、職員の方々の手厚いサポートと熱意があってこそなのでしょう。
それにしても...腹が...減った。
というわけで、2日目に続きます!
~翌朝~
おはようございます。私が部屋で朝日を浴びて「早起きした...!」満足している時、他の職員は散歩したりジョギングしたりしていたようです...
福江島から長崎へは、ジェットフォイルで戻ります。
五島市のもう一つの玄関口である福江港ターミナル。観光案内所の他に土産店や飲食店も入っており、乗船前のお客さんで賑わっていました。
五島の島々を眺めながらの1時間45分の船旅を終えると、ダイナミックで個性的な長崎港ターミナルビルが見えてきました。
船から降りて、長崎県庁に向かいます。
長崎県庁に到着しました!
「県民と共に新しい時代を切り拓く庁舎」を基本理念に平成30年に新しく建設された県庁舎は、長崎港に面して建っており、斬新なデザインながら低層化することで周囲の景観と調和しています。
エントランスから吹き抜けを見上げると、縦横無尽に階段や渡り廊下がダイナミックに交差していて圧巻です!外観だけではなく内装にも県産木材が活用されており温かみを感じる空間でもありました。8階には展望室もあるようなので、長崎県に行かれた際には、是非、ご覧になっていただきたいです。
我々は、2階の食堂「Chez Dejima (シェ・デジマ)」にオジャマします。ちゃんぽん、トルコライス、南蛮カレーと長崎らしい絶品ランチをいただきました。
さて、いよいよ長崎県庁のみなさまと意見交換です。
企画部、地域振興部の方々にご対応いただきました。お忙しいところ、本当にありがとうございました。
長崎県には、変化に富んだ美しく豊かな自然、海外の文物や文化を受け入れながら多くの人と交流し栄えてきた歴史と個性豊かな文化、日本の本土最西端に位置しアジアに最も近い地理的優位性など、他に類を見ない様々な特色があります。
加えて、西九州新幹線開業に伴い県内各地が活性化しており、スタジアムシティプロジェクトなど「まち」の佇まいが大きく変わるプロジェクトも進展しています。また、大手企業の研究開発拠点の立地も進み、半導体や海洋エネルギー等の成長分野における新たな動きなど産業構造に大きな変化が生じており、「まさに100年に一度の変革の時期を迎えている」とのことです。
長崎県では、人口減少や少子高齢化が全国よりも早く進んでいるそうですが、見方を変えれば「課題先進県」であり、他の地域に先駆けて課題解決に向けた最先端技術の社会実装などを進めていくチャンスがあると捉えて、「新しい長崎県づくり」に取り組まれようとしています。
西九州新幹線開業や駅前の再開発、企業誘致の結果、転出超過に低減傾向が見受けられますが、さらに若者や女性に選ばれる地域づくりや二地域居住をはじめとする関係人口の増加を目指されているということでした。
スタートアップの振興については、人や情報が多く集まる東京での連携を進めていきたいとのことで、こちらからも是非とお願いさせていただきました。
意見交換をしている中で意外に思ったのが、「ブランディング」に関わるお話です。
長崎県は、自然・歴史・文化・環境など本県の多彩な魅力やそのポテンシャルを活かし、県の総体的なイメージ向上につながる「ながさきブランド」の構築が必要であると考え、「ながさきブランディング・情報発信戦略」を策定されました。
お話を伺っていると、長崎県の魅力はいろいろあると思うが、象徴的なものがない。県民の皆さんに聞いても「これ!」というものがない...といった声も聞こえてくるとか。
えー!長崎の街のイメージはすぐ浮かびますし、景色はきれいだし魚は美味しいし、ちゃんぽんもカステラも出島も海に眠るダイヤモンドも、そして長崎と言えばスーパースターの「あの人」だっているじゃないですか...!オンリーワンがいっぱいあるじゃないですか!と思いましたが、長崎に住んでいる人にとっては当たり前になってしまうのでしょうか。そして、魅力がたくさんありすぎるのもPRしていく上では難しいものなのかと考えさせられました...。
先日、シンボルマークとブランドメッセージ「みなが咲き、ながさき。」を作成されたところですが、国内外の多方面から選ばれる「新しい長崎県」を目指して様々な取組を進めていかれるということで、その際には、全国各地と世界をつなぐ結節点である東京都とも連携していただけたら嬉しく思います。
東京都が行っている連携事業も紹介させていただきましたが、話は結婚支援や次世代モビリティの社会実装に向けた取組にまで及び、予定していた時間をオーバーしてしまいました...。お忙しいところ申し訳ありませんでした!
港湾局の職員は引き続き、地域振興部の方と離島航空路線の維持や離島振興についてお話しさせていただきましたが、我々は次なる視察先へ向かいます。
向かった先はCO-DEJIMA。長崎県が2019年に設立したスタートアップの交流拠点です。
企画部の方にご案内していただき、県から委託を受けてCO-DEJIMAを運営されている株式会社サイノウさんにお話を伺いました。
成長が見込まれるスタートアップ企業やそれを目指す方、企業、大学、金融機関など様々な人材が交流し、アイデアや技術を高め合うことで、新たなサービスを形にするための拠点とのことで、セミナーや交流会など様々なイベントを開催されています。
特徴的なイベントやプログラムを伺ってみました。
1つ目は「アート思考」を取り入れたイベントです。
アーティストがアートを作り出すことと、起業家が事業を生み出す(アイデアを生み出すなど)過程が似ていることもあり、アート思考という思考方法に注目をしたイベントが行われています。
過去開催したイベントでは、「日常でひらめきやアイデアを育てる土台をつくろう」をテーマに、お隣にある長崎県美術館などでの展示等の鑑賞を通じて、展示の内容に関して参加者の視点を共有する〈鑑賞編〉、アート思考ドリルなど実践的なワークを行う〈ワーク編〉に取り組んだりされたようです。
2つ目は「ミネルバ式リーダーシッププログラム」です。
長崎県内の若者流出という課題に対し、流出を止めるのではなく、県外に出た長崎に縁のある方々とつながりを保ちながら、地元企業(スタートアップ含む)がリモートワークや副業人材と円滑にプロジェクトを進めるには、複雑な状況下での意思決定スキル、つまり今の時代に合ったリーダーシップが必要だと考え、全国の自治体で初めて主催することにしたとのことです。
プログラムは完全オンラインで実施。参加者の方の「こんなに脳が汗をかくことを今まで知らなかったと感じました」という感想に衝撃を受けました。
3つ目は、2025年度から取り組んでいる「アクセラレーションプログラム」です。
起業初期は、何から学べばいいのか分からず手探りになりがちですが、必要な知識をまとめて学び、実践につなげられる場をつくりたいと考えたそうです。
スタートアップ・事業承継コースでは、プレシード〜アーリー期の起業家や事業承継に取り組む方を対象に、経営・法務・プロダクト設計・ブランディングなど創業初期に欠かせないテーマを扱い、自身の事業に落とし込みながら進めていく点も特徴だそうです。25歳以下を対象としたU25コースも実施しており、ビジネスコンテストやその先の挑戦を見据え、アイデア整理からプレゼンテーションまでをサポートしています。
長崎県全域の方が参加できるよう、すべてオンラインで受講可能な設計としており、「学んで終わりではなく、次の行動につながるプログラムにしたい」という言葉が印象的でした。
他にも様々な取組をご紹介いただきましたが、「長崎県は交通の便が悪いからこそ、それぞれの地域にコミュニティがありキーマンがいて土地の強みを活かしたビジネスをやっている」と示唆に富んだお話も聞くことができ、長崎県のことをまた一つ知ることができました。
今回の行程は全て終えて長崎空港に向かおうとしたところ、企画部の方が「長崎スタジアムシティはご覧になりましたか?」と長崎スタジアムシティに案内してくださいました。実は事前に長崎県のことを調べている時から気になっていたんです...。
2024年10月に開業した大型複合施設で、サッカースタジアムを中心にアリーナ、ホテル、商業施設、オフィスの5つの施設から構成されています。
Jリーグ「V・ファーレン長崎」のホームとなる約20,000席のサッカースタジアムは、日本一近くでJリーグの観戦が楽しめるそうで、観客席の一番下まで降りてみましたが、本当にピッチが間近にありました。
「試合がなくても人が集まる」というコンセプトどおり、観戦席でコーヒーを飲んで一息ついている方もいらっしゃり、日本初のスタジアムビューホテルなど特別な施設もありながら、日常にも溶け込んでいる場所だと感じました。
他にも、ショッピングモール、フードコート、日帰り温泉、スタジアムの上空を滑走するジップライン!があり、長崎に住んでいる人も長崎を訪れた人もどちらも楽しめる施設でした。
意見交換や視察でいろいろなお話を伺いましたが、これから長崎がどう変わっていくのかとても楽しみになりました。
東京都は、全国各地との共存共栄を目指し、引き続き幅広い分野で連携を進めていきます。
次回の訪問レポートもお楽しみに!