東京都では、東京と他の地域が、それぞれの持つ力を合わせて、共に栄え、成長し、日本全体の持続的発展へとつなげていく「共存共栄」を目指しています。
そのために、東京都では、東京だけでなく他の地域の発展にも結びつく様々な施策に、各自治体と協力して取り組んでいます。その取組の一環として、全国の自治体へ直接訪問させていただき、東京都との連携や政策全般にわたる意見交換を積極的に行っています。

10月31日(木)に茨城県を訪問させていただきましたので、その様子をご紹介します。

茨城県庁のある水戸駅には、東京駅から特急で1時間20分程度で到着します。
県庁舎は水戸駅から少し離れた場所にありますので、日本三名園の一つとして有名な偕楽園を眺めながら、バスで向かいました。

▼茨城県庁はひときわ目立つ建物でした▼
県庁全景.jpg

庁内に入ると、中には「やさいバス」なるものが!

「やさいバス」とは、地域の新鮮な野菜や果物などをインターネットで注文・購入できるシステムで、配送エリア内に野菜の集荷場(バス停)を設け、バスに見立てた配送車がそのバス停を巡回する流通サービスのこと。 生産者は、バスの到着時刻に合わせて最寄りのバス停へ野菜を持ち込み、購入者もまた最寄りのバス停に行って野菜を受け取れるという画期的なシステムです!
県内に本社を置き、食品スーパーを展開する株式会社カスミと茨城県が締結した地域包括連携協定の取組の一環として、県庁1階にバス停が設置されていました。

茨城県の農業産出額は全国第3位(令和4年)であり、鶏卵やねぎ、小松菜をはじめとした産出額が全国1位を誇る農産物は14品目(令和4年)に上ります。さらに、東京都中央卸売市場での茨城県産青果のシェアは20年連続で第1位であるなど、文字通り日本の食料マーケットを支えています。
このような形でも農業従事者への支援を進めているんですね。

▼やさいバスの看板▼
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1階で茨城県の取組の一端に触れた後は、意見交換です。意見交換は、政策企画部の皆様にご対応いただきました。
お忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。

今回は、東京都が実施する連携事業をご紹介するとともに、まずDX推進の取組について意見交換を行いました。
茨城県では「スマート自治体」を実現するため、申請や届出等の行政手続の電子化・押印廃止や、県有施設等へのキャッシュレス導入など、業務のデジタル化を推進しています。
令和3年には全国の都道府県で初めて、契約当事者が電子証明書を必要とせずに契約を締結できる「立会人型電子契約」を導入するなど、先進的な取組を実施しています。
また、県内の市町村のDX推進にも各市町村と連携して取り組んでいます。
市町村の場合は、職員数が少ない、DXの専門部署がない等の課題もありますが、防災や救急医療など、それぞれの地域課題に対してデジタル技術を活用した解決を目指しているとのことです。

また、茨城県における重要な事業についても、今後の連携を見据えた意見交換をさせていただきました。

1つ目は「霞ヶ浦導水事業」です。霞ヶ浦導水事業とは、茨城県を流れる那珂川と霞ヶ浦、利根川を地下トンネルで結ぶ国土交通省の事業です。本事業が完成することにより、河川湖沼の水質浄化に加え、水不足の軽減、茨城県や東京都などの水道・工業用水の供給確保が可能になります。
将来、気候変動の進行により厳しい渇水のリスク増大が懸念される中、本事業による水源の確保は、茨城県はもちろん、水源の約80%を利根川水系に頼る東京都にとっても、水道水の安定供給を図るために非常に重要です。
現在は事業費ベースで7割程度工事が進んでいますが、霞ヶ浦の浄化や渇水対策にもつながることから、早期完成が望まれます。引き続き関係自治体で足並みをそろえ、事業の推進に向け協力していくとともに、事業主体である国に対し、コスト縮減と工期短縮を働きかけていきたいということでした。

2つ目はつくばエクスプレス(TX)の延伸です。TXは茨城県つくば市から秋葉原駅までつながっており、東京と茨城を結ぶ重要な路線の1つです。TXの開業により、沿線の守谷市やつくばみらい市、つくば市では、子育て世帯を中心に人口が増えました。一方、つくば駅から先の交通ネットワークは強いとは言えず、TXの効果が県内全域にまで広がっていないことが問題点として挙げられるようです。
このような中、2023年6月、茨城県の大井川知事はTXの土浦方面への延伸を発表しました。現在は、土浦駅でJR常磐線と接続することを目指して構想の具体化に向けた検討を進めているとのことです。
都が進める「都心部・臨海地域地下鉄」の開発に加え、今後東京駅へのTX延伸やJRによる羽田空港アクセス線の一体的な整備が実現されれば、交通ネットワークの大幅な強化という効果のみならず、災害時のリダンダンシーの確保にもつながります。今後を見据え、ぜひ連携して整備を進めていきたいという強いお考えを聞かせていただきました。

その他にも茨城県が進めている取組として、民間企業とタイアップした常陸国ロングトレイルへの誘客促進や国営ひたち海浜公園のネモフィラやコキアだけにとどまらない「花絶景いばらき」としてのPRなど、観光関係のお話もいただきました。

 常陸国ロングトレイル:https://kenpokult.com
 花絶景いばらき:https://hanazekkei.pref.ibaraki.jp

茨城県には、先日も当サイトで取り上げた「茨城をたべよう収穫祭」をはじめとする多種多様な農林水産物に加え、豊富な観光資源などの魅力がたくさんあります。TX延伸が実現すれば、ますます距離が近くなる茨城県。今後も様々な面で連携を進めていければと思います。

 【首都圏の台所】「茨城をたべよう収穫祭」を開催!~いばらきの美味しさ、楽しさがまるごと東京に!~ | 東京と全国各地との共存共栄 ~真の地方創生~

お忙しい中ご対応いただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。

意見交換後は、県庁11階にあるアトリウム25階の展望ロビーを訪れました。

11階アトリウムには、非常に開放感のあるコワーキングスペースや団体・個人ともに利用ができるワークスペースに加え、100インチスクリーンや音響設備なども整備されていました。低価格で利用できることから、アトリウムを活用したセミナーも開催されているようです。
茨城県ひたちなか市に本店を構える「サザコーヒー」の茨城県庁店もあるため、ゆっくりとコーヒーを飲みながら休憩することもできます。

▼11階アトリウム全景▼
アトリウム.jpg▼設置されているスクリーン▼
アトリウム2.jpg

続いて、25階展望ロビーです。地上100mの高さから東西南北それぞれの眺望を楽しむことができるほか、多くの席も配置されていました。電源を設置したスペースもありましたので、仕事や勉強に励む方もいるようです。ちょうどお昼の時間に伺ったのですが、談笑しながらお弁当を食べる職員も多く、非常に居心地の良い空間でした。近くまでいらした際にはぜひ足を運んでみてください。

▼25階展望ロビー▼
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この後は水戸駅まで戻り、常陸牛のメンチカツをいただきました。ジューシーで噛むたびに肉汁があふれ、非常に満足度の高いランチとなりました。

また、水戸駅には、茨城県内30蔵以上の銘柄の地酒を楽しめる地酒バーもあります。こちらでは、3種の飲み比べにおつまみも付いたセットがわずか1,000円で楽しめます。さすがに勤務時間中なので控えましたが、お酒好きな方も十二分に楽しむことができますね。

▼水戸駅構内にある地酒バー▼
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本来はこの後、茨城県産業技術イノベーションセンターを視察させていただきたかったのですが、ちょうどこの日は都内でのイベントのため対応できないとのこと。
聞けば、「IBARAKIスペースサプライネットワーク」という宇宙機器に特化した共同受注ネットワークの発足・PRイベントを都内で開催するようで、大井川茨城県知事の出席や宇宙飛行士の土井隆雄さんの特別講演も予定されているとのこと。我々もその足でイベントに参加させていただきました。

IBARAKIスペースサプライネットワークは、国内有数の「ものづくり県」である茨城県の企業が結集し、ものづくりの専門的な知識や独自の技術で日本の宇宙産業のサプライチェーンに貢献することを目的に、宇宙関連企業との連携ニーズの発掘や県内ものづくり企業とのマッチングを行うことで宇宙産業の発展を支えていくために発足したネットワークです。
大井川知事らによるパネルディスカッション土井宇宙飛行士による有人宇宙活動に関する講演宇宙ビジネスに関わる企業の熱意あるプレゼンテーションなど非常に盛りだくさんの内容で、あまり詳しくない筆者でも非常に興味を惹かれるイベントでした。このネットワークの今後の発展をぜひ期待したいと思います。

 IBARAKIスペースサプライネットワーク:https://space.pref.ibaraki.jp

今回の訪問では、意見交換、現地視察ともに大変有意義な訪問となりました。

東京都は、全国各地との共存共栄を目指し、引き続き幅広い分野で連携を進めていきます。
次回の訪問レポートもお楽しみに!