東京都では、東京と他の地域が、それぞれの持つ力を合わせて、共に栄え、成長し、日本全体の持続的発展へとつなげていく「共存共栄」を目指しています。
そのために、東京都では、東京だけでなく他の地域の発展にも結びつく様々な施策に、各自治体と協力して取り組んでいます。その取組の一環として、全国の自治体へ直接訪問し、東京都との連携や政策全般にわたる意見交換を積極的に行っています。
9月18日(木)に新潟県を訪問しましたので、その様子をご紹介します。

 新潟県庁へ                                             

東京から上越新幹線で約2時間、JR新潟駅に到着しました!
この日の朝は雷を伴う大雨だったそうですが、到着時は幸い雨がやんでいました。東京は朝から30℃を超えていましたが、新潟はとても涼しかったです。
早速、新潟駅からバスに20分程乗って新潟県庁へ向かいます。

01県庁.JPG新潟県庁に到着しました!
正面玄関を入ると錦鯉の水槽がありました。新潟県は「錦鯉発祥の地」であり、長岡市や小千谷市を中心に多く生産されています。近年は海外でも非常に人気があり、令和4年には、新潟県で「世界錦鯉サミット」が開催され、錦鯉を通じた経済・文化の国際交流が図られています。

02錦鯉.JPG

意見交換まで少し時間があったので、県庁内を見学させていただきました。

03-04県庁内写真縮小.jpg新潟県の石「ヒスイ」と新潟県推進ブランドフォトスポット

05.展望室jpg.jpg

18階の展望回廊からは信濃川と日本海が見えます!

意見交換は、知事政策局、農林水産部、防災局の皆様にご対応いただきました。お忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。
今回は、東京都が実施する連携事業をご紹介するとともに、新潟県の総合計画、フードテック、防災についてお話を伺いました。

【総合計画】
新潟県では、令和7年度から令和14年度を計画期間とする「新潟県総合計画~住んでよし、訪れてよしの新潟県~」を策定しました。
新潟県においても人口減少と、それに伴う様々な将来の影響が課題です。本計画では、将来的に人口を一定水準で保つ「人口定常化」を目指し、少ない人口であっても成長力のある「住んでよし、訪れてよしの新潟県」の実現に取り組むこととしています。目標達成に向けて6つの重要課題を設定し、県民、企業、関係団体、市町村等と共有しながら、危機感を持って県の総力を挙げて対応していきます。

〔6つの重要課題〕
①子育てに優しい社会の実現
②持続可能で暮らしやすい地域社会の構築
③高い付加価値を創出する産業構造への転換
④国際拠点化と戦略的な海外展開・交流促進
⑤脱炭素社会への転換
⑥デジタル改革を通じた生産性向上や社会課題の解決等

課題に直面する一方、明るい兆しもあります。
例えば、洋食器や刃物など、金属加工で世界的に有名な燕三条地域では、製造現場を一般に開放し、自由に見学できるオープンファクトリーに取り組んでいます。ものづくりの魅力を伝えるオープンファクトリーは産業観光として非常に人気が高く、多くのファンを生み出しています。オープンファクトリーを契機とした移住や若い世代の就職も増えているそうです。
また、近年はリモートワークの拡大に伴い、IT関連企業の新潟への進出も増えています。令和3年には、数々の大ヒット作品を手がけたアニメ制作会社が新潟市にスタジオを設立しました。こうした企業が若い世代にとって魅力的な就職先となることが期待されています。

新潟県総合計画:https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/seisaku/1356915122382.html
にいがた進出企業の声:https://www.pref.niigata.lg.jp/site/kigyonokoe/


【フードテック】
米・日本酒に代表される食の豊かさは、新潟県の大きな魅力の1つです。「にいがた進出企業の声」でも、新潟を選んだ理由や新潟の生活の魅力に「食」を挙げている方が多数いらっしゃいます。「食」と聞くと米などの農業のイメージが強いですが、実は食品産業(食料品等)も新潟県の基幹産業です。令和5年の製造品出荷額は7,573億円、新潟県の全製造品出荷額のうち約15%を占め、全国的に知られているお菓子メーカーも多数所在しています。(この記事も新潟県のメーカーのお菓子をエネルギーに作成しています。)
そんな新潟県では新たな取組として「フードテック」を推進しています。フードテックに取り組む背景としては、中長期的には国内の需要減少が見込まれる米の新たな用途拡大・需要確保や食品産業における原材料の国内確保の必要性、大豆ミートを始めとする植物由来素材への注目の高まり等があります。

現在、新潟県では、「にいがたフードテック研究会」の運営と県の食品研究センターにおける研究開発・技術開発に取り組んでいます。
「にいがたフードテック研究会」は、県内の食品企業、新潟県、県内大学等の産官学が連携して食品産業におけるイノベーションを創出することを目指し、令和5年に設置されました。研究会では、フードテックの機運醸成に向けたセミナー開催や、県の食品研究センターの研究成果を食品企業の開発担当者に紹介する情報交換会、食品以外の分野の企業との異業種交流を目的としたフードテックピッチイベント等を実施しています。
県の食品研究センターでは、様々な食品技術の研究開発に取り組んでいます。例えば、米を原料としたマヨネーズのような調味料やチーズのように溶けたり伸びたりする素材、大豆を原料としたチキンナゲットのような素材などを開発してきました。
米由来のマヨネーズのような調味料は、県内企業によって卵・大豆不使用、アレルギー対応の代替マヨネーズとして実際に商品化されました。今年6月には大阪・関西万博の新潟県ブースで「未来食」としてお披露目されて好評を博し、7月から販売が開始されています。
また、未利用魚についても新たな活用方法を研究しています。エソは、硬い小骨が非常に多いため、元々新潟県では食べる習慣がなかった魚です。しかし近年漁獲量が上昇しており、また非常に美味であることから、漁獲量が減少しているトビウオのあごだしに代わる「エソだし」として利用技術が開発されました。エソだしも県内のラーメン店において商品化され、冷やしラーメンとして今年の7月から期間限定で提供されました。

フードテックは、食品の製造・加工だけでなく、農業や漁業から流通・販売に至るまで裾野が広く、ビジネスとしての成長の可能性を感じました。また、普段何気なく食べている食品ができるまでに、多くの研究成果や技術が関わっていることを改めて考える機会となりました。

にいがたフードテック研究会ホームページ:
https://www.pref.niigata.lg.jp/site/niigatafoodtechsubsite/

【防災】

新潟県は、平成16年の新潟県中越地震、平成19年の新潟県中越沖地震と相次いで大きな震災に見舞われました。昨年の能登半島地震では、新潟市内を中心に広範囲で液状化現象による被害が発生し、現在も復旧活動が続くほか、上越市では津波による住宅の浸水被害が発生しました。
こうした災害からの復旧・復興の経験に基づき、新潟県は県独自の災害対策に取り組んでいます。

1つ目は、新潟県独自の生活再建支援制度です。被災した県民の早期生活再建のため、「被災者住宅応急修理制度」、「被災者生活再建支援制度」において、既存の国の制度に加えて、県独自の支援金を上乗せする形で支給する制度を定めています。

2つ目は、防災・危機管理体制の強化です。新潟県中越地震の際には、連絡体制や業務分担、人員確保など様々な局面で課題がありました。これらの課題を検証して災害対策本部の組織体制を全面的に見直し、新たな体制を構築しました。
また、新潟県は県内全30市町村と協定を締結し、県内自治体間の相互応援体制「チームにいがた」を構築しました。「チームにいがた」は、災害時に新潟県と市町村が連携して被災自治体を迅速に支援する仕組みです。県内だけでなく県外の災害の際にも積極的に支援を行ってきました。
過去の震災では、被災自治体は限界を超える膨大な業務量に直面し、他自治体からの応援職員が不可欠となる一方で、業務内容や手順が分からず応援職員を的確に活用できない状況になっていました。そこで新潟県は、県内で災害関係業務を標準化するとともに、研修を通じて職員の業務リテラシーやマネジメント力向上を図り、「いつ、誰であっても業務を進めることができる」体制を構築しました。共通のシステムツールも導入し、能登半島地震の際は「新潟県被災者生活再建支援システム」により迅速に業務を進めることができました。
防災DXにも取り組み、令和元年から「新潟県防災ナビ」という県民向けアプリを平時の備えとして導入しています。現在は、避難所運営業務のDXに向け、避難者情報の収集や避難所と災害本部との情報共有により、避難者の属性に応じた支援を効率的に行えるシステムの構築を進めています。

3つ目は、地域防災力の充実強化です。災害対策基本法のもと、市町村は、要配慮者や高齢者など避難時に助けが必要な住民に対する「個別避難計画」を策定しています。新潟県では、市町村に対してヒアリングや研修を実施するほか、住民向けのセミナーを開催する等、市町村に個別に伴走する形で支援計画の策定をサポートし、策定率の向上を図っています。
また新潟県は、自主防災組織率と10万人あたりの消防団員数が全国平均を上回っており、県民の防災意識が高い県です。更なる防災意識向上のため、「新潟県防災リーダー」の養成・活用に取り組んでいます。県の養成講座などを受講し認定を受けた「新潟県防災リーダー」が、自治会長や自治会役員等に対して防災の指導・助言を行うことで地域の防災力向上を図っています。

平成16年の新潟県中越地震では、集落単位での住宅再建や生活再建など、地域コミュニティの維持を基本理念として復興を進めました。現在も震災の経験と教訓を伝承するための活動がNPO団体等で続いているとのことです。県においても災害を経験して得た教訓を施策に活かしており、防災に取り組む覚悟の強さが伝わりました。また、住民1人1人の防災意識や地域における防災の重要性を改めて感じました。

新潟県防災ポータル:https://www.bousai.pref.niigata.jp/contents/index.html
新潟県防災局:https://www.pref.niigata.lg.jp/site/bosai/


充実の意見交換を終えて、昼食の時間です。
新潟駅近くで大変美味しいお寿司をいただきました。見た目も非常に美しい贅沢なランチでした。
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 「にいがた2km」を歩く                                     

昼食後は、新潟駅から「にいがた2㎞(ニキロ)」のエリアを歩きました。
新潟市では現在まちづくり事業を実施しており、新潟駅から万代、古町にかけての約2キロメートルの新潟都心エリアを「にいがた2㎞」と名付け、活性化に取り組んでいます。

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60年ぶりリニューアルの新潟駅と文字モニュメント!

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新潟駅から15分程歩くと、信濃川に架かる萬代橋に到着しました!
現在の萬代橋は、昭和4年に竣工した三代目の橋で国の重要文化財に指定されています。1日に自動車約3万台の交通量を支える新潟市の大動脈であり、重厚な石づくりと美しいアーチが印象的なランドマークでもあります。
萬代橋の下流側には、信濃川に沿って「万代テラス」があります。「万代テラス」は万代島地区のにぎわい創出と活性化を目的として新潟県が整備し、平成27年5月に完成しました。
令和4年には「万代テラス ハジマリヒロバ」がオープンし、バーベキューやイベントを楽しめる場所となりました。地域住民や訪問者が集う交流拠点として機能し、新たなにぎわい創出に貢献しています。
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この日はあいにくの天気でしたが、とても開放感があり、晴れていれば信濃川を眺めながらゆったりできそうです。「万代テラス」以外にも、新潟県と新潟市が様々なにぎわい創出事業を実施しています。新潟を訪れた際はぜひ信濃川の水辺エリアを楽しんでみてください。

 新潟県醸造試験場へ                                       

萬代橋を渡り古町まで歩いた後、バスに乗って「新潟県醸造試験場」に向かいました。
新潟県の名産は数多くありますが、やはり日本酒は外せません!生産量は全国3位、成人1人当たりの消費量は日本一、県内の酒蔵数は89蔵(令和7年9月現在)と、まさに酒処です。
新潟県には、現在、全国で唯一の公設の日本酒専門試験場である「新潟県醸造試験場」があります。今回はこちらを視察させていただきました。

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敷地内に酒蔵?!・・・のような研修用の教室があります。

「新潟県醸造試験場」は、新潟県酒造組合の要望を受けて昭和5年に設立されました。当時は、酒造りの技術が現在ほど確立されておらず、製造過程で腐らせてしまうことも珍しくなかったそうです。そこで酒造りの技術的な研究・指導を担う機関として県立の醸造試験場が設立されました。
「新潟県醸造試験場」の役割は大きく3つあります。
1つ目は、新潟県の気候風土に適合する醸造法の調査と業界の指導啓発
2つ目は、県産優良酒造米についての調査研究
3つ目は、酒造従業者の指導養成

1つ目の酒造りの技術指導・研究開発では、各製造工程や完成した商品に対する技術相談や評価を行っています。
酒造会社の商品が企画どおりにできているかを、分析検査と香りや味わいを官能的に評価する利き酒によって評価します。商品に改善点がある場合は、製造工程に遡って問題点を洗い出して酒造会社にアドバイスをするため、完成した商品だけでなく酒母や醪のほか、熟成段階における評価も行います。利き酒と聞くと楽しそうなイメージですが、非常に専門的な知識と経験が必要となる業務です。また、各酒蔵の特徴や地域性を把握したうえで技術指導をすることも必要になります。
酒米や水など、原材料の成分分析も重要な業務です。酒米は同じ品種でも生育時の気候等によって出来が変わるため、収穫後に分析し、その年の特徴や傾向などの情報を酒造会社に提供します。各酒造会社では、情報を元にその年の酒米に合わせて造り方を調整しています。水についても酒造会社から依頼を受けて、含まれる成分を分析し、醸造適性の評価を行います。

2つ目の優良酒造米の研究では、新潟県の「農業総合研究所 作物研究センター」と共同で、酒造りに適した米を開発しています。これまでに「五百万石」「一本〆」「越淡麗」などの酒米を開発してきました。
新潟県では、昭和32年に開発した「五百万石」が栽培され、酒造りに広く使われています。大吟醸酒などの高級酒には兵庫県の品種「山田錦」がよく使用される一方、「五百万石」は大吟醸酒などの酒造りで行う高度な精米が難しい品種です。「山田錦」の栽培は新潟県の気候に合わず、県内ではあまり栽培されていなかったため、高級酒には県外産の酒米が使用されていました。
そうした中、やはり高級酒も新潟県産の酒米で造りたい‼という機運が高まり、平成16年に開発されたのが「越淡麗」です。高級酒に適した「越淡麗」の誕生により、「五百万石」と合わせて普通酒から高級酒まで新潟県産の酒米100%で酒造りをできるようになりました。「越淡麗」は、稲が倒伏しやすく耐病性が低い等、栽培のしにくさが欠点ですが、新潟県ではこの欠点を高度な栽培技術で補っています。「越淡麗栽培研究会」を発足し、米農家と酒造会社が連携して栽培と酒造りの両面から研究を積み重ね、「越淡麗」の高品質・安定生産を目指しています。

3つ目の酒造従業者の指導養成では、酒造会社の従業員を対象とした研修の実施など、県内の酒造技能者の育成を支援しています。
1970年代頃までは、杜氏集団が冬場に各地へ出稼ぎに出て酒造りを行っており、日本三大杜氏集団の1つである新潟県発祥の越後杜氏も、関東や東海、近畿など全国各地で酒造りを行ってきました。杜氏集団の中でノウハウが伝承されるとともに、新潟県も春から秋にかけて勉強会や講習会を開催するなど酒造技能の向上を支援してきました。
しかし、1980年代頃から社会情勢の変化や交通網の整備などにより、杜氏集団の出稼ぎは減少し、酒造会社の地元の従業員が酒造りを行うようになりました。働き方の変化に伴い技能伝承が途絶えてしまうことへの危機感から、新潟県酒造組合が昭和59年に「新潟清酒学校」を設立しました。「新潟清酒学校」は、県内の酒造会社に通年雇用されている若手従業員が3年かけて酒造技術を学ぶ養成機関であり、新潟県醸造試験場も講師を派遣して支援しています。
現在も、冬場は酒造り、夏場は技術向上を図るという伝統は引き継がれており、酒造会社が集まって勉強会や研究発表会が開催されるなど、新潟県全体で技術の伝承と研鑽に励んでいます。

訪問した9月中旬は、今シーズンの仕込みに向けて酒米や水、麹の分析を行っている時期であり、まだ酒造りが始まっていなかったため、施設内を見せていただくことができました。

12-13新潟県醸造試験場縮小.jpg左:酒米に麹菌を繁殖させ麹を作る製麹(せいきく)室 と 右:発酵室

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新潟県のお酒がずらり!

近年、日本酒の国内消費量は減少傾向にありますが、海外輸出は増加しています。そのため新潟県では、新潟県産のお酒であることを見分けるための産地判別技術の研究や、地理的表示「GI新潟」の指定を取得するなど、輸出対策にも取り組んでいます。
また、日本酒を普及するため「新潟清酒達人検定」の実施や「にいがた酒の陣」というイベント開催など、様々な取組を行っています。
新潟県醸造試験場の視察を通じ、新潟県が米どころであり、気候・風土が酒造りに適しているというだけではなく、日本酒に関わる多くの人々の弛まぬ研究や技術の伝承によって「酒処新潟」が支えられていることを知りました。また、いわゆる酒造り以外の、酒米の開発や栽培、原材料の分析、醸造機器の開発などの部分において、新潟県醸造試験場の貢献が非常に大きい点も印象的でした。

新潟県醸造試験場:https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/jozo/annai.html

 NINNOへ                                            

続いて、新潟県最大級のイノベーション拠点「NINNO(ニーノ)」へお伺いしました。NINNOは、スタートアップ・ベンチャー企業、地域企業、行政、教育機関・研究機関が集まり、共創し、新潟にイノベーションのエコシステムを創出するプラットフォームとして設立されました。民間のイノベーション拠点であり、新潟県や新潟市のバックアップを受けつつも、民間主導でビジネスとして継続できる構造を築き、持続可能なイノベーションを目指しています。
新潟県においてイノベーションを持続するためには、地域の力と新たな力の融合が必要と考え、NINNOでは「産産官学」でプロジェクトを推進しています。1つ目の「産」は地域に根付いた企業、2つ目の「産」はこれまで地域になかった新しい企業、「官」は行政、「学」は教育・研究機関を指します。地域資源がイノベーションと融合する共創型コミュニティを目指して、地域×イノベーションをテーマとした新たなモデルの仕組みづくりに取り組んでいます。

NINNOと連携した「SN@P(スナップ)」というイノベーション拠点では、イノベーションを芽吹かせる「0→1」の段階を対象に、地域の起業家を生み出す支援を行っています。NINNOでは、SN@Pでイノベーションが芽吹き、一定の規模に到達したスタートアップや、地域企業が更なるイノベーションの創出を目指す「1→X」の段階が生み出される環境を構築しています。拠点を分けて成長段階が可視化されたことで、NINNOの入居者同士での業務提携や協業はもとより、NINNOの場に様々な新潟県内外の自治体・団体・企業が足を運んでいただけるなど、外部との共創が広がるという効果がありました。

また、NINNOでは、企業等の入居メンバー同士が顔を合わせる集まりを月に1回開催しています。NINNOを実際に共創できる場所、コミットする場所とするため、交流を通じて濃度の高いコミュニティを形成し、イノベーションの加速化を目指しています。この取組の成果として、新潟の地元の課題に対して、全国の数千社からの提案ではなく、地元の事情に通じているNINNOに入居するスタートアップの提案が採用されるという現場型・地元型のオープンイノベーションが起きています。コミュニティでの交流等がきっかけとなり、NINNOの外にもオープンイノベーションに関わる取組が徐々に広がり、地元の既存企業もオープンイノベーションに参画するようになるなど新潟で新たな動きが生まれています。

令和7年6月には内閣府のスタートアップ・エコシステム拠点都市に、新潟県と長野県が連携する「REGIONAL NEXUS HUB~NAGANO・NIIGATA~」が正式採択されました。自治体が主導のスタートアップ・エコシステム拠点都市が多い中、新潟県では民間であるNINNOも県と並んで代表申請者としての役割を担っています。本事業では、「ものづくり・食などの地域資源を活かしたスタートアップの創出と集積」を目指し、医療・ヘルスケア、フードテック、環境・エネルギー、次世代モビリティ・ものづくりの4分野を中心に取り組んでいきます。新潟側では、県庁でもお伺いしたフードテックや燕三条地域の金属加工等のものづくりのほか、新潟大学の脳研究や、再生エネルギー等の関係にも重点的に取り組み、グローバルスタートアップの創出にチャレンジしていくそうです。

最後に施設内を見せていただきました。

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左:打合せやイベントに使えるスペースです。     右:NINNOの入居メンバー         

NINNOの理念に一貫しているのが、地域との連携・外部との交流の2点であると感じました。社会関係資本や地域資源など、地域にあるものを活かすことと、常に外部から情報や人が入る仕組みを作ることを非常に重視されていました。NINNOが地域とスタートアップをつなぐ窓口や、県外の人が交流を通じて新潟に馴染む場として機能することが成果につながっており、「新潟モデル」のイノベーションを実現していると思いました。

NINNO:https://ninno-plaka.com/

視察を終えた一行は最後に、新潟県庁の方におすすめしていただいたご当地グルメ「タレかつ丼」を食べて帰ることにしました。甘辛いタレが染みた柔らかいカツがご飯とマッチして最高でした。

19タレかつ丼.JPG

日帰りでの訪問にはなりましたが、意見交換・視察を通じて、どの事業においても新潟県の気候・風土・歴史に由来する地域の特性をとても大切にされていると感じました。
新潟県の皆様にはお忙しいところ大変丁寧にご対応いただき、非常にありがたかったです。

訪問後には、11月13日(木)・14日(金)に都内で開催された「THE NIIGATA×新潟県 にいがた発見フェア」をこの共存共栄ポータルサイトでもPRする等、東京都と新潟県の連携を実施しました。
【THE NIIGATA×新潟県 にいがた発見!フェア】
東京都は、全国各地との共存共栄を目指し、引き続き幅広い分野で連携を進めていきます。 次回の訪問レポートもお楽しみに!