東京都では、東京と他の地域が、それぞれの持つ力を合わせて、共に栄え、成長し、日本全体の持続的発展へとつなげていく「共存共栄」を目指しています。

そのために、東京都では、東京だけでなく他の地域の発展にも結びつく様々な施策を、各自治体と協力して取り組んでいます。その取組の一環として、全国の自治体へ直接訪問させていただき、都との連携や政策全般にわたる意見交換を積極的に行っています。 

 

今回の訪問先は岩手県。8月25日(木)に伺いました!

岩手県と東京都は、これまでも東京2020大会の機運醸成イベントパラリンピック聖火リレーでの大漁旗の使用、職員派遣をはじめとする東日本大震災への復興支援など、様々な面で連携してまいりました。

岩手県と言えば、日本一大きな県で、東京都の約7倍もの面積を誇ります。平泉をはじめとする3つの世界遺産があり、小学校で習ったリアス式海岸があるのも岩手県。お盆や秋のお彼岸の定番りんどうの花も、大半が岩手県で生産されています。また、童話作家の宮澤賢治さんからメジャーの二刀流・大谷翔平選手まで、多くの人材が飛び立っており、岩手県出身の歴代内閣総理大臣は4人と、山口・東京に続き3番目に多く輩出しています。

岩手県の詳しい情報を知りたい方は、こちらのウェブサイトをご覧ください。

     ▼ウェブサイト『いわてお国自慢』▼ 
 phot_iwate_rennkei01_banar.PNG

 

そんな岩手県、必ずや東京都との強みを活かし合う更なる連携のポテンシャルがあるはずとの期待を込めての訪問となります。

はじめに、陸前高田市に202112月に全面オープンした『高田松原津波復興祈念公園』に伺いました。約130haの広大な園内には、約7万本の松の中で唯一残り復興のシンボルとなった奇跡の一本松など、5つの震災伝承施設があります。

また、園内の『東日本大震災津波伝承館』には、被災した消防車両の実物や東北地方整備局災害対策室の再現などの展示があり、津波のすさまじさと同時に人命救助・復興に立ち向かう人々の力強い姿を目の当たりにすることができました。

  ▼高田松原津波復興祈念公園▼      ▼奇跡の一本松
phot_iwate_rennkei02_tsunamidennshoukan.JPG  phot_iwate_rennkei03_ipponmatsu.jpg

  ※「高田松原津波復興祈念公園」ウェブサイト:https://takatamatsubara-park.com/

東日本大震災から11年余りが経ちました。日常生活の中では、どうしても災害の記憶や危機意識が薄れてしまうものですが、地震・津波のみならず、最近では豪雨も頻発するなど、次の自然災害がいつどこを襲っても不思議ではありません。そんな当たり前の現実と、一人一人の日頃の備えが重要であるということを改めて痛感させてくれました。

東日本大震災津波を乗り越えて進む姿を、支援への感謝と共に発信してくれるこの施設は、修学旅行などの防災教育にもうってつけであり、自然災害に強い社会の実現につながるものと確信しました。

なお、来年6月には、この地で全国植樹祭が開催され、震災からの復興の姿が国内外へ発信される予定です。
  ※「全国植樹祭いわて2023」ウェブサイト:https://syokujusai-iwate2023.jp/

 

続いて、県庁の政策企画部にて、意見交換を実施しました。

        ▼岩手県庁▼
phot_iwate_rennkei04_kencho.JPG

岩手県では、今年2022年が、長期ビジョンである「いわて県民計画」(2019~2028)の具体的な推進方策を示している「第1期アクションプラン」の最終年にあたり、目下、第2期の策定を進めているそうです。

策定に向けて議論する中で、最大の課題は人口減少であり、特に若年の女性層にどうすれば県の魅力を届けて、岩手に戻ってきてもらうことができるのかを模索しているとのお話でした。日本全体で人口が減っていく中で、パイの奪い合いではなく、関係人口という切り口で、連携の可能性があるのではないかとのご示唆をいただきました。

そして、県民計画の基本目標には、「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」が掲げられています。各政策分野を評価する指標として、「幸福」に関連する客観的指標を定めると同時に、主観的幸福感も重視していることが特徴とのお話でした。
  ※いわて県民計画:https://www.pref.iwate.jp/kensei/seisaku/suishin/1018014/1019685.html 

また、岩手県では、ILC(国際リニアコライダー:International Linear Collider)の誘致にも力を入れています。ILCは、国際協力によって設計開発が推進されている次世代の直線型加速器で、ビッグバン直後の状態を再現することによって、宇宙誕生の謎に挑むことができるものです。世界100か国、1000を超える大学・研究機関から、トップクラスの研究者・技術者数千人が東北・北上山地に集まることが期待されています。
  ※ILCとはhttps://www.pref.iwate.jp/kensei/ilc/1011386.html

その他にも脱炭素に向けた再生可能エネルギー分野での横浜市との連携事例や、デジタル人材の確保定着に向けての課題、アールブリュットのブランド化で新たな文化創造を目指す県内のスタートアップ企業の取組など、話題は多岐に及び、大変有意義な意見交換となりました。

 

最後に、帰りの新幹線までの時間を使い、県庁近くの『櫻山神社』『盛岡城跡公園』を散策し、『もりおか歴史文化館』を見学しました。もりおか歴史文化館内には、数年前まで日本一人口が多い村だった滝沢市から盛岡まで14kmの道のりを子供が馬に乗って練り歩く「チャグチャグ馬コ」や、和太鼓の同時演奏でギネス世界記録にも認定されたことがあり今年3年ぶりに開催された夏の風物詩「盛岡さんさ踊り」の解説と映像、盛岡八幡宮の例大祭で曳かれる実物の山車などが展示されており、岩手と盛岡の歴史文化を感じられます。

          ▼櫻山神社▼            ▼櫻山神社境内の烏帽子岩▼
phot_iwate_rennkei05_sakurayamajinja.jpg  phot_iwate_rennkei06_toriboushiiwa.jpg

  ▼盛岡城跡公園内の石垣▼        ▼もりおか歴史文化館▼
phot_iwate_rennkei06_joushikouen.jpg  phot_iwate_rennkei08_moriokarekishibunkakan.JPG

ちなみに、さんさ踊りの由来は、その昔、城下町で暴れていた鬼を神様が退治した時に、それを喜んだ人々が「さんさ、さんさ」と踊ったことが始まりとされています。鬼が二度と悪さをしないことを神様に誓ったときに、その証として手形を押したという巨大な石は、現在も県庁近くの三ツ石神社にあります。そして、これが岩手県の名前の由来とも言われています。

帰りは盛岡駅から新幹線で東京までわずか2時間強。案外あっという間です。
皆様も、ぜひ、岩手県を訪れてみてください。

   ▼盛岡駅前▼ 
phot_iwate_rennkei09_moriokaeki.JPG


なお、都心でも、東銀座の歌舞伎座の向かい側にある『いわて銀河プラザ』には、多数の特産品が並び、岩手県を味わい、感じることができます。
  ※いわて銀河プラザ:https://www.iwate-ginpla.net/ 

 
今回の岩手県訪問も糧に、東京都は全国各地との共存共栄を目指し、引き続き幅広い分野で全国各地との連携を進めていきます。

次回の訪問レポートもお楽しみに!!